FC2ブログ

自作小説~Mon etagere

スポンサー広告


スポンサーサイト

--.--.--  *Edit 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



*Edit TB(-) | CO(-) 

現代版桃太郎(銃撃コメディ)


現代版桃太郎 外伝①~ロジャー・ミーツ・マーガレット~

2009.08.13  *Edit 

何の飾りもない無機質な廊下を、、ブーツの音を響かせて、一人の兵士が歩いてくる。
歳の頃なら、20代後半だろうか。
全身から漂う、兵士としての風格と殺気にも似た気迫。
金色の髪を短く刈り込み、彫りの深い顔立ちに、眼光鋭い視線。
全身を覆う筋肉に無駄はなく、歴戦の兵士のそれだ。
彼の名前はロジャー・トラスク。
そう、現代版桃太郎のあのロジャーさんなのである。
と言っても、ロジャーさんがまだ若い、1970年のお話である。
そんなロジャーは、第22SAS連隊B中隊所属。
その中でも、とびっきりの猛者たちを集めた小隊を率いている。
肩の階級章は『特務曹長』であり、彼が輝かしい功績を残していることを物語っている。
なぜなら特務曹長とは、士官学校を出ていない下士官の中では、頂点の階級だからである。
しかも少尉待遇という、格別な階級なのである。
そんなロジャーは、ようやく目的の部屋の前に到着した。
ふと腕時計を見下ろすと、14:59:30と表示されている。
よし、いつも通りだ!
ロジャーは制服の乱れを直し、控えめにノックをした。

『入りたまえ!!』

すぐに中から、中年の男の声が返ってくる。
ロジャーはゆっくりとドアを開き、一礼して中へと入った。

「ロジャー・トラスク、ただいま参りました!!」

「うむ、いつも時間通りだな」

この部屋の主である、アルバート・ウィンスター大佐が軽く手を挙げる。
それに敬礼で答えるロジャー。
彼らは旧知の仲ではあったが、軍内で公私を混同することはない。
よく見れば、新しい秘書官だろうか。
ウィンスター大佐の横には、見知らぬ女性仕官が立っている。
綺麗に肩で揃えられた黒い髪と知的な青い瞳。
歳もロジャーとそう変わりはないだろう。
ロジャーは彼女にも敬礼を送ると、気をつけの姿勢のままで大佐の方へと向き直る。
それを待っていたかのように、ウィンスター大佐が執務机に手を組んで話し始める。

「ロジャー、こちらはDIS(国防情報本部)のマーガレット・アンダーソン少尉だ。今回は彼女とともに、北アイルランド領内のIRA(アイルランド共和軍)暫定派の強襲作戦を実行してもらう」

IRA暫定派といえばアイルランド全島統一を旗印に、北アイルランドのみならず、イギリス本国までをテロの対象にした過激派集団である。
今年の7月には、ベルファストのロウアー・フォールズ地区において、治安維持に努めていたイギリス陸軍との間で、3日間の銃撃戦を繰り広げていた。
彼らはリビア政府から武器を供与され、日増しにその勢力を拡大していった。
すでにイギリス政府も、現地の警察機構に任せっきりにして高みの見物を決め込むわけにもいかず、本腰を入れて対IRA活動に乗り出さざるをえない状況なのだ。
とうとう来たか。
このことを予想していたロジャーが、深く頷いて口を開く。

「北アイルランド領への強襲任務だということですが、目的は制圧なのですか?」

ロジャーの問いに口を開きかけたウィンスター大佐を遮って、マーガレットが間に割って入る。

「大佐、それついてはわたくしから……」

「うむ、では頼もうか」

ウィンスター大佐が同意するのを待って、マーガレットがロジャーに向き直る。

「曹長、現在の北アイルランドの情勢は知っているわね?」

「ああ」

とだけ、ぞんざいに答えて先を促すロジャー。
いくら同じ少尉といっても、ロジャーはしょせん少尉待遇。
対するマーガレットは、士官学校を出た正式な階級だ。
さすがに彼の態度に気分を害したのか、マーガレットが口の端を引きつらせる。

「ご存知で結構……では、本題に入ります。我々MI5ではIRA暫定派設立以来、スパイを送り込んで浸透工作を行ってきたの。そのスパイから先日、重大な情報を入手したと連絡が来たわ」

「能書きはいいから、早く作戦内容を言ってくれないか」

腕を組み、上から冷たい視線で見下ろすロジャーの態度に、とうとうマーガレットがキレる。

「ちょっとアンタね!! わたしは少尉よ。少尉待遇だか知らないけど、上官には敬意を払いなさい!!」

「はっ、失礼しました少尉殿!!」

わざとらしく、礼儀正しい口調で答えるロジャー。
その真剣そうな表情とは裏腹に、相手を小バカにしたような目をしている。
まるで士官学校出の青二才を見るような目付き。
だがもちろん彼に、マーガレットをバカにしているという感覚はない。
彼は戦場に生き、戦場の中で鍛えられた男だ。
だから情報は、正確かつ迅速に欲しいだけなのだ。
ただ、実力のみがものを言う特殊部隊員の彼にとって、階級だなんだと言う人間を相手にするのが面倒だということも事実ではあるのだが。
そしてそんなロジャーの挑発的な態度と言動にも、マーガレットはぐっと堪え、真っ向から睨み返す。
彼女も負けず嫌いな性格なのである。
それに加えて、彼女にはDISという特殊な機関にいるというプライドがある。
いつも畑違いの現場に足を踏みこんでは、毎回同じような対応をされて来てたのだ。
だから、こういう手合いの付き合い方には慣れている。
相手の領域では立ててやり、あえて口を出さないという方法だ。
まあ、この男に立てるべきところが見つかればであるが。
マーガレットは一度呼吸を整えると、小脇に抱えたブリーフケースから、書類の束を取り出した。
厚さにして数十ミリ。
それら一枚一枚に、小さな文字でびっしりと英字が埋め尽くされている。
彼女が二日間かけて、ほぼ眠らずに書いた作戦概要書だ。

「今回の任務は、重要なスパイの救出作戦よ。これが現地の偵察写真と、救出すべき人物の写真です。そしてこれが、数々の情報から検討した救出作戦の……」

言葉の途中で、ロジャーがロジャーがその書類をひったくるように取り上げる。
そのままパラパラとめくり、偵察写真とスパイのプロフィールだけ抜き取ると、残りの束を返す。

「曹長、作戦の詳細は読まないの?」

返された書類を、再び押し付けるように突き出すマーガレット。
ロジャーはそれを面倒臭そうに受け取ると、中身も見ずに、近くのダストボックスへと放り投げる。

「ちょっと、アンタねえ!!」

苦労して作成した書類を、ろくに目も通さずに捨てられて、マーガレットが声を荒げる。
それに対してまたも、面倒そうな表情で答えるロジャー。

「少尉殿!! 少尉殿はご存じないかもしれませんが、作戦とは直前に決定されるものです。しかもこの偵察写真は、二日も前のものです。こんな古い情報で、命を賭けるわけにはいきません。それに、机の上でのうのうとしている情報部から送られてくる誤情報で、どれだけ危険な目に合わされたことか」

言葉遣いこそ丁寧だが、慇懃無礼なその態度や言葉の端々にあるトゲ。
それがマーガレットの癇に障ったのか、声を高くして言い返す。

「誰が机の上でのうのうとしてるですって? 私はこう見えても現地に潜入もするし、敵との交戦経験もあるわ!! だいたい、アンタたち兵隊がしっかり作戦通りに動かないから、毎回危険な目にあうんでしょ!!」

この言い草にロジャーも完全にキレ、先ほどまでの礼儀正しい態度から一変し、喧嘩腰なものへとなっていく。

「バッカじゃねえの? 『臨機応変』って言葉知ってるか? もし知ってても、もう一度辞書を調べて、ノート1冊分写し取れよ!! 大体よお、作戦通り作戦通りって、うっせぇーーんだよ!! 戦闘は司令部で起こってるんじゃない、前線で起こってるんだ!!」

「バカはアンタよ!! なによ、どこかの映画みたいなセリフ言っちゃってさ!! てかそれ、上映されるのまだ30年は先だから!! それより臨機応変なんて言葉、猿みたいなバカでも知ってるのね。でも便利な言葉よねえ。自分勝手にめちゃくちゃやっても、臨機応変で片付けちゃえるんだから」

「誰が猿だ!!」

「あら、ごめんなさいね。猿に失礼だったかしら?」

マーガレットがしれっとした表情で言い放ち、さらに言葉を続ける。

「大体ねえ、作戦の概略がなかったら、臨機応変もなにも無いでしょ」

勝ち誇った笑みを浮かべるマーガレット。
ロジャーは深いため息をついて、ボソリと呟く。

「たしかに概略は必要だけどよお……厚さ数十ミリの作戦書なんて誰が読みたがるんだ? あれだ!! そう、どこやらの自作小説BLOG管理人が、毎回グダグダな長い文章書いて、自己満足してるのと同じだろ?」

……それって、あたしのことか?

「それもそうね……」

って、アンタまで頷くなよ!!
てか、二人とも抹殺するわよ?
人が気にしていることを、ずけずけと……
まあ、作者の心の怒りはこれぐらいにして。

「ていうか、人が二日も寝ないで作成した書類、ふつう捨てる?」

「たかだか二日やそこらで、偉そうなこと言ってんじゃねえよ!! こちとら不眠不休、飲まず食わずで、敵地を1週間も移動したこともあるんだぞ!!」

「そんな脳筋自慢なんて知らないわよ!! でもよかったじゃない、飲まず食わずで、さぞかし脳の筋肉も大分落ちたんじゃないの?」

またまた言い争いを勃発させる二人。
まさに、売り言葉に買い言葉。
だけどさっきの作者への発言で、あたしはもうツッコまないからね!!
といっても、作者であるあたしがここでツッコミを放棄してしまうと、この後二人の言い争いは、泥沼化してしまう気がするのだが……
だがここで、今まで黙って事の成り行きを見守っていたウィンスター大佐の叱責の声が、室内中に響いた。

『貴様ら、いい加減にせんかぁ~~~~っ!!』

この一言で二人は口喧嘩をやめて、身体をビクッと震わせると直立不動の体勢で、大佐の方を恐る恐る振り向いた。
まさに、水を打ったかの静まりを見せる室内。
ウィンスター大佐、作者に代わってよくやった!
まあ、それはさておき。
額に脂汗をたらしつつ緊張した面持ちで立つ二人に、ウィンスター大佐が静かに口を開く。

「ロジャー、これは上からの命令で、すでに決まったことだ。何か異議があるなら、上層部に掛け合うが?」

「いえ、何もありません!!」

それに頷いて、今度はマーガレットのほうに顔を向けるウィンスター大佐。

「アンダーソン少尉。君も私を失望させないでくれたまえ」

「サー・イエッサー!!」

こうしてロジャーさんとマーガレットさんのファーストアプローチは、無事?に幕を閉じたのであった。
二人のお互いへの第一印象はというと……おおむね良好であったらしい。
てかそれ、本当なのか?
あたしにはどう考えても、仲が悪いようにしか見えなかったんですけど。
まあそれはさておき。
この二人、今後どうなったのかについては、次回のお話。


                つづく


*Edit TB(0) | CO(12)

~ Comment ~

NoTitle 

ロジャー・ミーツ・マーガレット!マーガレットさんファンとしては、タイトルから食いつきました(笑)
若いロジャーさんとマーガレットさん素敵ですー!そして、月さんの地の文のツッコミもナイスです(笑)

「そう、どこやらの自作小説BLOG管理人が、毎回グダグダな長い文章書いて、自己満足してるのと同じだろ?」っていえいえ、月さんの文章はいつも面白いですよ♪

続きも楽しみにしてますね^^

NoTitle 

今回はちょっと思いつきだけで書いてしまったので、内容が薄いかも><(いつものことか!)
面白いと言っていただけると励みになります(つд・)
この二人が救出作戦なんて、できるのかしら?(゜▽゜;)
絶対に敵ごと味方も吹き飛ばす気が(´_ゝ`)

NoTitle 

またもや、大笑いしてしまいましたwww。
次回が待ち遠しいです!!

若かりし時のロジャーさんとマーガレットさんvvv。
後々恋に落ちるのでしょうか?(〃▽〃)

ロジャーさん、作者である月さんになんて事を言うのでしょうか!!

NoTitle 

コスギマユさん、いつもありがとうございます^^

この二人恋に落ちるのかしらね(゜▽゜;)
作者にも分かりません(つд・)
なにせ、作品中の登場人物は自由行動なのです><

あの後二人には、きつーーーいお灸を据えておきました≧∇≦

NoTitle 

桃太郎‥深いww

ここまで現代コメディー風になるんですねw

すみません(ry

リンク貼っていいですか?

NoTitle 

莉亜さんいらっしゃぁい^^
すでに桃太郎の面影なんてないですけどね(゜▽゜;)

リンクの件は、リンクフリーなので大丈夫ですよ^^
こちらからも貼っておきますね^^

NoTitle 

脳筋自慢 ←大笑いさせていただきました。

ミリタリー・アクション・コメディーで暑気払いですね。

NoTitle 

ペカリさん、大笑いしていただければ、すごい嬉しいです^^

かえって暑くなりそうですけどね^^;

NoTitle 

桃太郎w

あいからわずの深さですw

いやはや、はじめロジャーって誰?

から始まらなければいけませんでしたw

NoTitle 

ネミエルさん。
いきなり外伝から読んじゃうと、そうなっちゃいますね><

NoTitle 

いつぞやの要望に応えてくださっていたとは。
言った当の本人がポシャっててなんかすいません。

時系列矛盾の映画ネタとか途中でキャラと作者のやり取りとか良いですね。
銀魂とか思い出します。映画も公開するらしいです(関係ない)
ってかコメント欄で私情を書きすぎ(笑

まだ、全部読んでないので、読み終わってからちゃんとコメントさせて頂きます。

月黎風 

sammoさん、復活おめでとう^^
読者様の要望には、極力応えるようにしています^^
読者様と一緒に物語を作るような一体感が好きです^^

銀魂って来年のGWでしたっけ?

またまた遊びに来て下さいね^^
管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

~ Trackback ~

トラックバックURL


⇒ この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 ◆Home  ◆Novel List  ◆All   ◆通常ブログ画面  ▲PageTop 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。