FC2ブログ

自作小説~Mon etagere

スポンサー広告


スポンサーサイト

--.--.--  *Edit 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



*Edit TB(-) | CO(-) 

愛と悲しみの二重奏(学園ラブコメ)


愛と悲しみの二重奏①~『自由な校風』は便利な魔法の言葉~

2009.06.03  *Edit 

 私立星見ヶ丘学園は、閑静な住宅地を抜けた、小高い丘の上にあった。
 生徒の自主性と自由な校風がウリの、なかなか競争率の高い人気校である。
 そして今日は入学式。
 別に進学校でも有名校でもないくせに、やたらと高い競争率を勝ち抜いた新入生たちが集まる日であった。
 その競争率は、500倍。
 ご、500倍って………100円が50000円になる大穴である。
 よくぞそんな賭けを、受験でしたものだと驚くレベル。
 それよりも、このご時世に、よくそれだけの子供がいたという驚愕の事実もあるが。
 まあ、それをおいといて。
 そしてここにも、そんな競争に生き残り、汗だくになりながらも、丘を学校目指して自転車で駆け上がる男子生徒がいた。


 彼の名前は、日高優司(ひだかゆうじ)。
 小麦色に日焼けした肌と、短い黒髪が似合う健康優良児。
 顔も普通の上くらいだろう。
 そんな彼は、FC2のTシャツを汗で濡らし、ひたすら自転車を漕ぎ続けていた。
 ちなみに、なぜFC2なのかと言えば、ただ単にこのBLOGがFC2だからである。
 よしっ、胡麻すり&宣伝終了。
 そしてなぜ彼が、こんな苦労をして自転車なんぞで登校しているかといえば、答えは簡単である。
 寝坊したのだ。
 慌てて飛び起き、バス停に到着してみれば、それを待っていたかのように、無情にも通り過ぎる送迎バス。
 絶望感に浸る余裕もなく、さっと自宅にきびすを返した優司。
 そして彼は、姉の自転車を無理やり強奪し、急いでバスを追いかけたのだ。
 そのとき自転車で走り去る彼に、背後から姉の怒声が聞こえてきた。
 『こら優司、てめぇ帰ってきたらブッ飛ばすからねっ!!今晩は飯抜きよっ!!』
 なにか恐ろしい声が聞こえた気がしたが、これは無視した。
 帰ったら地獄を見そうだが……
 そして追いかけること15分。
 バスに追いつくこともなく、現在に至る。
 まさかこんなに遠かったとは……。
 片道15kmの道のり。
 体力に自信があった優司は、甘く考えていたことを、今さらながらに後悔していた。
 ときおり通り過ぎる車の中から、送ってもらうのだろう生徒たちが、好奇の視線を向けてくる。
だが今は、それを気にするどころではない。
 心臓は爆発寸前、足は20分前からすでにオーバーヒートしている。
 だが止まるわけにはいかない。
 一度止まってしまったら、二度と漕ぎ出せない気がするぅ~~~。
 あると思います!!
 必死に足を交互に踏ん張る優司。
 それに合わせ、肺が空気を求め全身から汗が噴き出す。
 そうして、やっとのことで登り切る。
 あとは直線だけだ。
 優司は、残された体力の全てを使って漕ぎ続けた。
 校舎が見えてくる。
 続いて校門。
 そして、校門の人だかりが近付く。
 なんの集まりだろう?
 不審に思って自転車を漕いでみれば、一台のパトカーが止まっているのが目に入った。
 いきなり入学初日に事件かよ。
 そう思った優司。
 だが、どうやら雰囲気が違う。
 ネズミのようなマスコットキャラクターと、その横にたたずむ女性。
 女性は、警察関係者なのだろうか?
 タイトなスーツに身を包み、顔を引きつらせて何かを言っている。
 だがその言葉も、周りを取り囲んだ男子生徒の声にかき消されてしまう。
 『お姉さん、歳いくつ?』
『携帯の番号教えて!!』
 『彼氏いるの?』
 女性はその質問に、顔を引きつらせて耐えながら、マスコットキャラクターの方に視線を送る。
 見ればマスコットの方も、生徒の集団に取り囲まれて、なにやら言われていた。
 『なにこれ?ネズミ?』
 『バカ、警察はネズミを捕まえる方だろ!!』
 『じゃあこれ猫なわけ?』
 『ていうか、中に入ってるのってバイトでしょ?』
 『中身なぞいない!!』
 そう言いながら、殴る蹴るの暴行。
 中には、どこから持ってきたのか、パイプのようなもので殴る生徒まで出る始末。
 おいおい、いちおう相手は、警察関係者なんですけど。
 それを、ヌイグルミの腕でなんとか防いでいるマスコット。
 優司は関わり合いにならないように、横をすり抜けようとした。
 まさにその時、マスコットキャラの叫びが耳に入る。
 『お前らいい加減にしろよ!!』
 どうやら中身は、若い男性らしい。
 かなりいらついた声でそう叫ぶと、短い手を器用に動かして、懐から何かを地面に投げる。
 次の瞬間。
 ころんっころん、ボフッ、シュバァ、バァ~~~~ン
 マスコットを中心に、すさまじい閃光と轟音が襲う。
バタバタと倒れこむ生徒たち。
 もちろん優司も、自転車ごと横倒しになり、轟音で耳の中がキィ~~~ンと鳴っている。
 いったい、なにが起こったんだ?
 轟音のため麻痺した三半規管が、地面をグラグラと揺らす。
 閃光を直視していない優司は、なんとか上半身だけを起こした。
 そんな彼の視界に、先ほどの女性に足蹴にされるマスコットキャラが目に入る。
 やっと回復し始めた聴覚に、女の声が聞こえてきた。
 『このバカ九条ぉぉおおお、問題起こすなって言ったでしょうがぁっ!!』
 そんな言葉が、薄れる意識の中に木霊したのだった。


 「う……うぅ……」
 そんなうめき声を上げて優司が目を覚ましたのは、ベッドの中だった。
 カーテンレールに仕切られた白い天井。
 病院だろうか?
 ぼんやりとそんなことを考えていると、とつぜんバサァっとカーテンが開く。
 現れたのは、二十代前半の白衣の女性。
 黒い髪が似合う綺麗な顔立ち。
 そんな彼女が、心配そうに優司を見ている。
 「日高君、気が付いたみたいね」
 と、微笑みかけてくる女性。
 なぜ俺の名前を知っているんだろう?
 そんな考えを確かめるように、優司が口を開く。
 「あの、ここは病院ですか?」
 「え?ここは保健室よ。それで私が保健の先生」
 なるほど、保健室か。
 その時ようやく優司の頭に、登校時の出来事がよみがえってきた。
 たしか俺は自転車で人だかりを、そこでいきなり爆発が。
 まだハッキリとしない、ボヤけた頭で必死に思い出す。
 あれは一体、なんだったのだろうか?
 テロか?暴動か?
 だけど警察関係者がいたような。
 その時、そんな優司の考えを遮るように、校内にチャイムが鳴り響く。
 「あら?日高君、残念ね。入学式は終わっちゃったわよ」
 悪戯っぽく笑う保健の先生。
 年齢に似合わず、可愛い笑顔だ。
 どうやら数時間、気を失っていたようだ。
 いや、そうではなく。
 こんな状況で、入学式やったのかよ!!
 そんな優司の心の叫びを見透かしたかのように、保健の先生がさらに言葉を続ける。
 「日高君、初日から大変だったわね。まあウチの学校は、自由な校風がウリだから、君も慣れなさい」
 いや、ええと、爆発したんですけど。
 もしかしてあなた、それを自由な校風で済ます気ですか?……そうですか。
 あんな惨事を、にっこり笑ってさらっと流してしまうこの先生に、一抹の不安を覚えた優司であった が、とりあえず身体は無事らしい。
 入学式は出れなくとも、教室には行かないとならないだろう。
 保健の先生が静止するのも構わず、上半身を起こす優司。
 そのまま優ベッドから降りると、ふら付く足取りで保健室を後にした。


 のどかな春の日差し。
 まだ肌寒い風が、窓辺のカーテンをそっと波打たせ、外の香りを運び込む。
 廊下は入校式帰りの生徒でごった返し、前に進むどころか立っている事さえやっとだった。
 そんな中を、生徒たちを掻き分け、進む優司。
 目指すは優司のクラス、1年C組。
 やっとのことで、教室の後ろのドアにたどり着く。
 そこで深呼吸。
 入学式に出れなかった優司は、まだ顔も知らないクラスメイトたちを思い浮かべ、緊張に身体をこわばらせる。
 なんか転校生の気分だ。
 優司はもう一度、息を大きく吸い込むと、勢い良くドアを開いた。
 ガラガラガラ、がやがやがや………しぃ~~~~~~~~ん
 教室内に、奇妙な沈黙が訪れる。
 そして一斉に向けられる、奇異の視線。
 うおっ。
 何かを言わなくては、とあせる優司の頭の中には、なにも浮かんでこない。
 とりあえず、スマイル0円で乗り切るか。
 優司は引きつった笑みを浮かべながら、教室に入る。
 そんな彼を見て、クラスメイトたちがひそひそと囁くのが聞こえる。
 「あれ誰?」
 「入学式にいたっけ?」
 「朝の爆発に、巻き込まれたんじゃね?」
 「かわいそうに……」
 同情するような視線が突き刺さる中、優司はうろうろと自分の席を探した。
 そんな時、彼を呼ぶ声がする。
 「あんたが日高?もしそうなら、そこ」
 と、窓際の女子がぶっきらぼうに言う。
 「あ、ありがとう」
 とりあえず礼を言い、その女子の隣の空いた座る優司。
 そんな彼にその女子は、ふんっと鼻を鳴らしてそっぽを向く。
 俺が何かしたか?何か悪いこと言ったか?礼を言っただけだぞ。
 優司は混乱する頭を振って、何気なくその女子を眺めてしまう。
 黒く長い髪。
 それが窓から入る風になびいて、シャンプーの甘い香りが優司の鼻先に香っている。
 この16年間、彼女のいない優司でさえ、素直に綺麗だと思う顔立ち。
 ただそのきつい瞳が、周囲の誰をも拒絶しているかのように、冷たい光を放っていた。
 顔は常に無表情。
 笑えば可愛いのに、と優司はそんなことを考えていた。
 そして、そんな彼の視線が、その女子の制服に移る。
 もちろん彼は、制服フェチなどではない。
 いや、多少は興味があるかもしれないが。
 だけど、今はそんな目的で見ているわけではなかった。
 この学校に制服はないのだ。
 その証拠に、クラスの誰もが、この女子を除いて私服で来ている。
 中学のときのものだろうか?
 優司がそんなことを考えて、ぼんやりと見つめていると、その視線に気づいた女子が振り返る。
 目と目が合う二人。
 そして
 「何見てるのよ!!あんた変態?」
 冷たく言い放ち、また窓の方を見てしまう女子。
 とりつく島もない。
 何か気まずくなって、優司が教室の前に視線を動かすと、前のドアがガラガラと開いた。
 あれが担任か。
 そう思った彼の視線の先に、中学生らしき少女が現れた。
 不審に思う優司。
 いや、クラス全体がそう思ったに違いない。
 彼と同じく、爆発に巻き込まれた生徒だろうか?
 奇妙の沈黙の中を、少女が教壇へと向かう。
 「私があなたたちの担任の、若井夕菜よ」
 そう言った声は、声変わりしていないように子供っぽい。
 静まり返る教室内。
 教室中の生徒たちの頭上には、?マークが点滅している。
 そして、声を落として囁き合う生徒。
 「担任だってよ」
 「あれ、中学生じゃねぇの?」
 「わかいゆうな、若い言うなって無理だろ」
 「萌えぇ~~」
 だのと口々に言う生徒を、教壇の少女は黙って聞いていた。
 まったくの無表情で。
 そして、黒板のチョークを手に取る少女。
 名前でも書くのか?と見つめる生徒たち。
 次の瞬間。
 シュバァッ!!
 という音を立てて、チョークが教室を縦に飛翔する。
 ちょうど良く、使い古されたチョーク。
 先端が尖がっているせいもあってか、空気の壁を、音速を越える速度で切り裂いた。
 クラスの誰もが、目に捉えることはできなかったに違いない。
 どごぉっ!!
 それはそんな音を立てて、後ろの黒板に突き刺さった。
 まさに一瞬の出来事。
 そして一瞬の沈黙の後、チョークはその衝撃に耐えられなかったかのように、砕けて白い粉になる。
 クラス中に、唾を飲み込む音が聞こえた。
 あわてて視線を前に戻すと、にっこりと微笑む少女、もとい若井先生が口を開く。
 「えへ、先生、耳が良くないから聞こえなかったんだけど、なにか言ったぁ?」
 全員がそろって、首を横に振る。
 こ、恐ぇえええ。
 全員が冷や汗たらたらで見つめる中、若い先生がにっこりと微笑む。
 「先生、みんなとうまくやっていけそうな気がする」
 こうして優司の、高校生活の第一歩が始まったのであった。

                  ②へつづく



クリックしていただけると、励みになります(つд・)
小説・詩ランキングにほんブログ村 小説ブログ ライトノベルへ


*Edit TB(0) | CO(6) Tag List  [ * ] 

~ Comment ~

No title 

壮絶なプロローグ。
月さん色がよく出ていると思います。

次回からの展開楽しみしとります♪

No title 

これ学園ラブコメにするつもりなんですけど、ぜんぜんそう見えないですね(゜▽゜;)
寄り道しすぎて、話が前に進まない(つд・)

No title 

なんかたいへんな学校みたいですね。おもろいですよ。
個人的には保健室の先生に興味があります。
ちょっとだけ気になってるのが・・・効果音なんですけど。
マンガでは効果的に使用されてますね。
文字で伝えてる小説ではその場の景色状況も文字で伝えてるので
音を擬音で描かれると、読む側の情景想像がかえって混乱しやすいです。難しいところですね。

ともあれ、おもしろいですよ。ありがとうございました。

No title 

ペカリさんいらっしゃぁい^^
保健の先生………が好みなのか(゜▽゜;)
これからの展開にキーとして登場する予定は無いけど、なにせこの学校には、九条がいるから、登場しないこともない^^;
今度出してみますね^^
効果音は混乱するのか><
勢いで書いてるので気付かなかった><
貴重な意見ありがとうございます^^
少し考えながら書いて見ますね^^

No title 

パワフルすぎます(^^;
とりあえず

> よしっ、胡麻すり&宣伝終了。

上手い! ざぶとん30枚!

No title 

ハートフルコメディにしようとしたら、ハードフルになっているという(´_ゝ`)

まさか胡麻すりに喰い付いてくれるとは(つд・)

また遊びに来てくださいね^^
管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

~ Trackback ~

トラックバックURL


⇒ この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 ◆Home  ◆Novel List  ◆All   ◆通常ブログ画面  ▲PageTop 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。